01.1..
ryinx
漂泊の 時のなかに ゆめのように 揺蕩う ゆめの、なかで 夢から さめて あてどない 意識に かすかな ゆめの 名残に 仕舞いこまれた 時間と めにうつる ゆれる 視界のなかに 沈む 夕日と こわれかけの 時計に ゆめのなかの 時間の ながれる みえない 暗がりに ゆめの なかの 終りと 岬の 止まり木に 空の色を すこし いい忘れたのは 視えない 珪石の 転がる 視界に 終わらない 雲の ながれに とけいの 移動する 車輪の 中心の なかの 虹のように ゆらぐ 揺れる 終わるとき それでも すこし そこに 休ませて、てのなかの 小石に 映る かすかに 覚えている 切断された 意識に 少しだけ 似ていて すこしだけ 似ていた 少しだけ 似ているようで しばらくのあいだ 融解している 小石を みずうみに おとす 音がする 音がきこえる 音が きこえる 音が 聴こえる ゆめのなかの ゆめに ゆめをみた あさに カーテン越しの かすかなひかりの残像は みえるともなくきえてゆく ゆめのなかで 中心線の 栞と 古びた布の きりさかれた 仔猫の ゆめの なかで すこしだけ きこえる 寝息を写して 町は 音のない プレハブの もくめと 枯れてしまった 破れた扉と 少しだけ 錆びた鉄琴の音色に 戻れない 記憶の 底の 落ち窪んだ ときのなかで 結果的には さいごまで そこは 迷路のように それでも ながれる風は あたたかで わすれかけていた 光景を すこしだけ 写しこんで 古びて 破れかけた写真に みえるのは 刺しこまれた 時間の 破片で 光源は みあたらなくて どこにも 視えない 音のかけらは ききまちがえた 聴きまちがえていたものは あのとき 別の 写真に 映しこまれた 屋内の みどりの 草原の 風景の 映る たてかけられて 崩れおちた 揺らぐ 海の 底に 仄かに すこしだけ 微かに 淡く 滲む ゆめの 残像と いましがた きこえた ちいさな ゆめの かけらで はじめから どこにも なかった どこかに あると思っていた なないろの グラスの ひび割れた 目次には 掠れた インクの 蒼さのように すこしだけ いえないことを 浮かぶ ちいさな 泡のように 木目に染みた シンクに ながれる 日々の かけらに、とりもどされた 取り残した とれない きおくのなかの あの、遠い 街なみに ゆれる すこしだけ 揺れて ゆれて