河の上の花びらが知らない街に引っ掛かっている
海を見ずにその美しい清純さは汚れてゆくんだろう
死んだ女が通りを歩いている
雑踏はいつもと同じ取り立て騒ぐ事はない
恋人達が誇らしげな顔で改札も手を繋いで通る
その手もやがて離れ別々の夜を眠るのだろう

アメリカ嫌いが口癖の男が
マクドナルドでコーヒーを飲んでいる
俺は散弾銃の買い方がわからなくてお前に電話する
だけど世界を壊すことはできないが
世界を止めることはできる
それはたった一人が黙って舞台から降りればいいんだ
そしてお前はプリマドンナの夢を屋上から投げ捨てる
それは通りに立っている全ての無関心な顔に突き刺さる
なんて
だめだ目に見えない事柄に捕えられてはいけない
ありきたりの小さな狂気から離れよう
何万回もの堂々巡りはもうよすんだ

今夜ボードウォークを歩かないか
波の音が染みてくるはずだから
全てが死んでしまっても
俺達は起きている
それを確かめるために抱きしめてくれないか
見せ掛けの星が揺らめく下で
見せ掛けのキスをくれ
そしたら俺はお前だけにうたを作る
そのくらい雨が降らないんだよ
なにもかもが散るんだ

ほらまた星の下で赤いさそりが燃えている
それなのに何も感じないんだ
鏡を哀れむだけで精一杯で祈ることを忘れた俺達に
花が凍るように泣いている


自由詩Copyright  2005-05-23 14:25:43
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