ハルモニア
りつ

生物は みな美しい
無生物も みな美しい

路傍に転がる小石
光にかざすと キラキラして
たからものの引き出しに入れた

河原でみつけた緑色のかけら
ざらざらした不思議な手ざわりで
魔法の石だと信じて
毎日ポケットに入れて持ち歩いた

空の青さを眺めては 永遠を思い
山際にある群雲は 天人の王国だった

どれほどこがれたことか桜
いっせいに散るさまが哀しくて
その潔さをみごとと思った

田圃に稔る 稲穂はきんいろ
風が吹き渡るたびに
さわさわと優しい音がした


私の観る世界は みな美しかった
そこには調和があった

ひとだけが 不可解だった
その嘘だけが 解らなかった


自由詩 ハルモニア Copyright りつ 2024-10-13 13:24:34
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