花瓶
はるな



それの終わりかけに、
べつになんにもいらなくて
あなたを困らせた

ふつうに愛せたら良かったとおもう
グラスに入れた氷が溶けていくみたいにとか、
生けた花がだんだん萎れていくみたいに

つみあげた本の内容をところどころ忘れていくみたいに、
つくりすぎたスープが冷えていくみたいに。
蒔いた種が忘れたころに芽吹くように、
美しいところだけを切り取って生けて、
またその花がだんだん萎れてくみたいに。




自由詩 花瓶 Copyright はるな 2024-10-09 20:25:29
notebook Home 戻る