神聖のうた
ひだかたけし
朝に雨降り冷える大気に
小さくくっきり開く花、
見つめ入る私の傍らを 、
歩を運ぶ人の足早に
アスファルトの窪み
水溜りに映り込む
黒と黄の色彩の対称、
其処此処に群れ成し生える野草の
自らを気付かれぬままに
自らを気付くこともなく
只急ぎ過ぎる人の足許に
自らの場所を穿ち確保し
濡れそぼり 密やかに
真っすぐ伸び広がり垂直に運ぶ
葉群れの歩みを人の歩みと交差させ
小さくくっきり開く花、花、花、
冷える大気に雨降り注ぐ朝、
刻む時の流れに
自らの命の旋律乗せ
黄の色彩の祝祭、
リズミカルに繰り広げ
名付けられ得ぬ何ものかの
神聖を賛美するうた響かせる
見つめ聴き入る私の内 、
思慕の感情の奥深くから
湧き立つ四方無限の神聖を