竹月
秋葉竹





みあげると
竹月だった

なぜかよるの1時に目が醒めた

昼間の
ゆきかうくるまの音が
息を止める苦しさで
かき消えてしまっている夜空の下
たまに
長距離トラックのせつなげな擦過音が
胸と耳と目をとおり過ぎてゆく
痛みをともない

そして訪う静寂

なにもない世界をみはりたくて
レースのカーテンを開け
心の蓋を開け

窓を開けて
街を
みおろす
ぽっかりと黒い穴が空いた
闇属性のたてものもどうろも
どこかへ逃げようとしている
可愛らしい光の粒も
すこし
泣きそうな顔をしている

地上には
ポツンポツンと星々があり
うすい
白い雲におおわれた夜空には
星もみあたらずに
ただ無音だ


静けさを破る
光の束があたまのおくに届いたので
驚いて視線をあげて
みあげると
こんやこの時間にしかみえない幻影の
呼んでも応えない風に吹かれる
清冽な

竹月だった








自由詩 竹月 Copyright 秋葉竹 2024-10-08 01:25:53
notebook Home