生きること
ひだかたけし

電線伝いに溜まった雨滴の群れ、無数無数
すぅうと膨らんではぽとっと落下していく
次々と、次々とまた膨らんでは落下して

繰り返し繰り返し

ベランダのキキョウやガーベラの花々
いっせいに咲き開きまた萎れ項垂れ
灰の空を色付かせ色褪せさせ

繰り返し繰り返し

沸き起こる胸奥からの歓びのまた虚しさの
深く深く息づき脈動し何かを語りかけ

繰り返し繰り返し

大きなお目々をくりくりさせながら
小さな女の子がイートインのガラス越し顔くっつけ
こちらにいかにも親しげに笑いかけ仕切りに濡れた髪振り
思わずピースサインを送るとその可愛らしい顔が輝き弾けて



 今日 東京は雨だ 、



僕は移動する 只ひたすらに

時に追い縋ることなく振り返ることもなく

眼前に現れ来るもの 観入り魅せられ、
湧き出す心情の更に奥深く潜むもの 
掬い取ろうと三度観入り浸り生き

   この雨中にこの宇宙で 、

繰り返し繰り返し夢中で移動し続ける













自由詩 生きること Copyright ひだかたけし 2024-10-05 18:01:19
notebook Home