たとえばなし
アラガイs


 例えば、僕が通りがかりに凶悪な男に襲われて、それを見ていた蛇が助けて終おう、と間違えて俺を飲み込んだなら、小さな森の家から少女が街へやって来て、わたしの生体認証を囓り、切り割きながら氾濫した河へ捨てた。    etc.あなただから助けてあげたのよ。と少女は物部に振り返りそう言った。

これは本当の話し、夜の帳が幕を開くときにはよく黒革の財布を拾う。何やら怪しい波文字の読めないスペルで金印も押してある。わたしはすかさず警察に届けに行ったが警察は相手にしてくれなかった。~お客さん、これ何処の國のお札? え?知りませんけど…  じゃあさ、もらっておきなよ。どうせ偽札なんだから、笑。と言いながらおまわりさん俺に突っ返してきた。 じゃあもらっておこうか…。  

「都内で一番高級な倶楽部」
これ、ほらさっき拾ったんだけど本人が返してきたよ。要らないって。 ええ、凄い!ねえ見せて見せて!      オーマイゴッド!隣の賑やかな席から悲鳴が、…それ、ドコで拾ったん?ワタシわたしの財布、わたしワ落としたのよ。お元気?何処で…?  
アタマから柄付きの布切れを垂らした参人連れのアラブ人だった。 あ!そうだったの。奇遇だね。いまそこで拾って持って来たんだけと…。 よければどうぞ…。 オーコレはコレはサンキュー!
財布の中から札を何枚か差し出しだけど断った。見たこともない柄で、とても国内じゃ使い物にはならないから。ノーサンキュー! ソレならバ、今度連絡してくださいって言ってますよ。通訳した連れの美人が僕にそう言って名詞を差し出しオマケに旅券フリーパスの航空券をいただいた。

どこまでも青い海原に白い砂浜。アラブで一番高いビルの最上階はちょっと怖いけど、眺めは最高さ。ワタシたちのヒツジになってください。だと、結局召使いだろうけど、年収は30萬ドルだって、ちょっと安いんじゃないかな。

例えば嘘にもほどがあっても天気だけは大きな嘘つきだ。
昨日誰かが明日は暴風雨になるよって言ったのかい?
おかげで自転車は煽られて猫は飛び出してきて狸は麒麟に追いかけられて象はピカソに食いつかれたよ。
この小石を宝石にしてみましょう。とあなたが言えば、その石をダイヤと交換しましょうときみは言ったよね。僕は覚えてるよ。ワタシの彼氏はそんなヒトじゃないわよ。 メアリーが酔っパに拒否するので、ピアノ売ってチョーだい、クソウ、ソレならハリウッドにある別荘と交換してもいいよ。と鷲高にピカソが言う。
彼女はネット弁慶さ。
ところできみは誰なんだ?
交番で尋ねられたときから、  僕はバンクシーだ! と言ってみることにした。
俺な、いつもメチャクチャにしてしまう癖がある。
正直わたしを喜ばせて欲しかったのよ。      完










自由詩 たとえばなし Copyright アラガイs 2024-09-22 08:51:14
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