蜥蜴ノ足跡
林 理仁

ウサギの匂いがする、からとまた僕は唐辛子を食べながら、からとまた私は右手に如雨露を持っておらず、米酢を持っておらず、窓の外から、ウサギを見ていなくて、酒を飲みながらこの文章を書いている、実はまだ、夜ではない、朝でもなく昼でもない、だからとまただからとと云う必要もないが、宇宙からこの手紙を書いている(これは手紙ではなく、ただのノートだ、そのノートは小学生の頃のではなく、別に今なわけでもないが、まだここでこんな風に書いているということは戦時中に生きていたわけでもない、ただ蝶の様にここにいる)

蜥蜴が窓の近くの道路の近くで、また人の足跡でもない所で、仏様のようなわけでもなく、電卓で数えたように、花の隙間から、溢れだす笑顔のように、またそれが、20年前の幼少期のように蜥蜴が、鏡に向かって、蝶が、桜のてっぺんで寝転びながら公園の側で、作る足跡。

また最後の言葉が不思議だった、そこにあるからまたコンクリートの先に、土を面積と呼ぼう、なぜならまた数字だからね、こんなことを云うよ、と誰でもないのだが、美しくとは言わんばかりに、誇張の欠片に挟まらないからとはどうしても言えない、続く草の叢。


自由詩 蜥蜴ノ足跡 Copyright 林 理仁 2024-09-19 02:44:40
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真夏の幻