息と瞬き
atsuchan69

土砂降りの雨がおまえを濡らし、
からだが小刻みに震えているのを見た
星の巡りじゃなく、俺はここにいる
華奢でしなやかな声をキスで塞いだ

信じられるのは、息と瞬きだ
うなじや首筋の甘い匂いには騙されない
蜜の味のする唇の儚い感触や、
大きな黒い瞳の奥を俺は疑わない

サファイアの指輪も、香水の瞞しも、
着飾ったおまえのすべてが泥にまみれて
土砂降りの雨の中で抗う姿が好きだ

めそめそ泣くな、まだ俺がいる、
長い髪も、ドレスも、靴も、びしょ濡れにして
幸せになりたいなら、俺の手を掴め



自由詩 息と瞬き Copyright atsuchan69 2024-09-12 04:34:59
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