デラシネ、或いはパラサイト
レタスの妻



根なし草だった私が、
根を張ったのは
夫でした

夫に寄生して
ほとんど養分をもらうばかりでしたが
ほんの時たま
養分を還流できたと思っています

例えば、バーバーのアダージョ
あれは私が嫁ぐときに持ってきたお気に入りの曲でした
例えば、調べ物や書類物などの事務処理
これは私の得意な分野です
例えば、気に入りそうなプレゼントの把握
夫が喜びそうなものは何だろう?
と考える時間は楽しかったです

もう夫に根を張って長いので
(夫に寄生して長いので)
夫に張った根を刈られると
私は生きていけません
(夫は楽になるのでしょうか)



夫が私から自由になる為には
禁断の魔法の呪文が必要です

   「私のために………ください」



私は笑って頷くでしょう
私を狩る権利は、夫だけが持っています


夫だけのものです




自由詩 デラシネ、或いはパラサイト Copyright レタスの妻 2024-09-11 22:04:04
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