唄を忘れた金糸雀と、笑いを忘れた道化師と
涙(ルイ)

悲しみってやつがさ
また ぶり返してきたみたい
なんだかとってもダルくって
頭もズシンと痛くって


いつか君が教えてくれたあの唄を
口ずさんでみたくなって
思い出してみようとしてみたんだけれど
フレーズひとつ 思い出せやしない
唄を忘れた金糸雀は
鳴き方さえも 忘れてしまい
誰も知らない あたしの涙



昔ついたキズアトを
よせばいいのに ほじくり返し
血を滲ませては痛がって
忘れない 忘れたくても忘れない
そうでなきゃ そうしなきゃ
全部なかったことにされちゃうから
痛くて痛くて 痛すぎちゃって
自分殺しちゃいたいくらい 痛いのに
こんなにも真っ赤な真っ赤ないのちが
ちゃんとちゃんと 噴き溢れてるっていうのに



痛いの痛いの飛んでかないで
あたしにあのひと 許させないで



だけど 誰にも気づかれぬよに
なんでもないって顔をして
平気へっちゃら へへののもへじ



あれれれ どうしたことでしょう
頬が引きつって どうにもうまく笑えない
昨日まで フツーに笑ってられたはずなのに
おかしいな おかしいよ
なぜだか急に
いまにも泣いてしまいそう



笑い方を忘れてしまった道化師が
土砂降りの雨の中
ずぶ濡れで立ち尽くしている
降りしきる雨の中 泣き顔隠すみたいに



いつまでもいつまでも
ずぶ濡れのまんま立ち尽くしている


ずっと
ずっと







自由詩 唄を忘れた金糸雀と、笑いを忘れた道化師と Copyright 涙(ルイ) 2024-08-22 14:15:44
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