夕立
花形新次
突然の雨に
傘を忘れたきみは
雨宿りのために
ショッピングモールに駆け込んで
びしょ濡れの髪を
ハンカチで拭いて
ひと息をつく
一昔前なら
夕立に降られた
気の毒だけど
何処か透き通った
美しい少女だったろう
しかし今では
夕立なんて言葉は
消えてしまって
ゲリラ豪雨と
その被害者などと
呼ばれるのだ
全てがけばけばしく
どくどくしくなっていく
僕の好きだった世界の少女は
もうなくなってしまったんだ
自由詩
夕立
Copyright
花形新次
2024-08-21 19:11:30