かくれんぼ
凪目

君がじんせい、と言うときの口の形を、僕は信用しない
じんせい、と口にしなければならない、
その悲痛を信じる
じんせいの中に
君がいた試しはない
その音の中に大切なものを閉じこめようとするとき、外に放り出されているもの
僕はそれに会おうとする
それはいつも外にいる
外は広くて寒い
平気だ
見つけられる
挨拶をする

その遠さ
波の寄せる深い崖について話す
砂漠
羊歯
菌糸の囁きについて問う
耳を傾けるとき、長く伸びてくる指
血管の奥に柔らかく触れて、くすぐったい
くすぐったくて
しゃぼんのようにはじけ
粉微塵に
がらくたになっても
いつまでもそこにいられる
夢には底がないから
君が泣くとき
笑っている
君がじんせい、
という形を作ろうとするとき
僕はそこにいる
そこにいて、形のない影の中に、君を見つけられる


自由詩 かくれんぼ Copyright 凪目 2024-08-13 22:28:55
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