なつのたまてばこ
そらの珊瑚
すこしもやいでいる朝
木々から蝉たちのこえがふってくる
絵にかいたらこんなふうかな
まる
ひとさしゆびでそらにたくさんのまるをえがけば
きみもちいさなそのゆびで
せいいっぱいのまるをえがく
せかいが
そんな丸でつながったらいいね
ひとのこころはなんどいびつになったとしても
まるからうまれ
いつかまるがとじられておわる
としても
このなつ、一緒に生きている
汗ばんだきみの手の
やわらかさを
体温を
わすれないようにぎゅっとにぎる
にぎりかえして
にぎりかえす
やがて
きみはてをはなし
あかるいほうへかけていった
ことしも蝉たちのこえが
こころのふたをあける