もぐら
soft_machine
もぐら掘る掘る
命みじかい始原菌に鎧われて掘る
太陽を感じる見えなくったって
もうすぐ夕暮れ土の中が一番熱くなる時刻
頂点は一瞬だけど
その前後の緩やかな丘に沿って掘る
青いトンネルいっぱい足音響かせて
無駄なく素早く心地よく掘る
鼻が知らせる鼻から伸びた髭が察知する
繊細な尖端が近い将来の襲撃を予告する
それは猫かも知れない鴉かも知れない
それとも硬いスコップだろうか
水ではないな
水ならとっくに気配が充ちてる
水は怖いよ何よりも怖いから
急上昇しろ!
グズグズするな!
けれどついつい立ち止まってしまって危うくなる
土の竜だよ
秋の雨に溺れる精だよ
目で見たものは信じない
記憶はすべて匂って噛んで吐き捨ててきたもの
ちっぽけなぼくらもぐら
炎に向かって掘る
ダーウィンに諭されあちら
シートンに唆されこちら
明日ってなんだ今に向かって掘る掘る
掘ってる以外大抵ねむってる
ミミズの他に好きな娘の他に
意味持つものなんかありはしないよそうでしょ
まるで酔ったように
進化に抗うように
掘る
掘る掘るどこまでも掘る
なんで掘る? いつまで掘る?
あそこに人参が待ってるからさ