ユニコーン
soft_machine
生えぎわが、そう爪に似ていた 巻き爪
肉を 引き剥がすエナメル
光を半分 そう、半分を返し
残りは吸いこみ 閉じこめる
他に使われない角は どうしたって美しかった
遠ざかる火輪
呼び覚まされる叢氷
枯れない小川
みんな震えながら飛び越えてきた先に
君が求める 答があると信じて
いつも 翼が小さすぎるね、と 疑われてきたけれど
中は軽いから平気 そう、笑い返してきた君
ユニコーンの恋は、いつもそう
少女の体に乗り移り
血を薄め 肉を縛り 骨を飾る
それらを長い角で確かめたら
やっと世界を美しく感じて 空を飛ぼうかと思う
行いがどんなに穢れても
この角だけは 綺麗なまま残そうと思う
散らばっているのは
火花だろうか
人の列だろうか
神話が古くならないのは
今日も誰かが初めて読むから
森の奥で泉が湧くから
水面を駆ける少年が
尖い枝に手足を託し
父の両目を潰すから
欲しいものはたったひとつの友情 だから
どんなに嘘をつき重ねても
死んでみせるつもりなどない
本当の愛の最後は知らない
どんなに疎まれ、蔑まれようとも
私は わたしの信じる世界に身を置いた
今朝は 珍しく視界良好
久しぶりに町に行くかも知れない
もしも行ったなら 気の向くままに壊そう
君も一緒にどうかな