おやすみなさい
そらの珊瑚

こうしてまたいちにちを閉じる儀式のようにして
あなたは舌の掃除にとりかかる
洗面所の蛍光灯のしろいひかり
鏡のなかの素のじぶん
おもいきり長く舌を伸ばそうとするけれど
悪魔の舌ほどは長くないことに
すこし安堵してみる
どこからが臓器だろう
それとももう臓器だろうか
そっと専用ブラシで舌の苔をこそぐと
こころなしか舌は脱力してひろがる
着飾ったことばたちも
ぬるくなったみずとともにはきだされ
ながれていった

それからあなたは鏡にむかって
あたらしいおやすみなさいをいう


自由詩 おやすみなさい Copyright そらの珊瑚 2024-08-07 12:41:17
notebook Home