凝視
這 いずる
羽虫がいちばん嫌いで
ゴミの日にゴミが出せなくてね
朝、シャワーを浴びるの
冷えた体が温まるように
今日の血を回す
一生涯かけて流星になると誓った
私たちがたどり着いた大気圏が
どこの地平でも
平等に朝と夕方が美しい
空 だけ見て
私が紛れた地平の住処に
孤独を感じる
夜、さまよって、
ひとつひとつの
家、灯り、あたたかな
居場所は無い
星が瞬いている
晴れた夜空が藍色で覆う
月並みな慣用句を使う
吸って吐く息が
息が 息が 息
足どりが普通の人のように見えるか
きちんと見えるか
ちゃんとしているか
私は人間に戻れているか
人間になれないのなら
今すぐ死んでよかった
街灯を避けて歩いて
輪郭をなくそうとして
暗がりに救いがあると思って
人間が嫌で
人間だけは嫌で
それは
今すぐ死ねばよかったという反語で
輪郭は無くせているか
無くせている
私じゃない
これは私じゃない
ここにいるの私じゃない
私がこんなになんで
食べて飲んで息をして
生命活動を続けて
私は、私が、私だけが見ている
私しかいない
私私が
私がいる
見る