ryinx


 拾ったノート
 裂かれた紙片
 路地裏で思案する

 この筆跡は、
 群青に滲むヤドカリの砂

  いまに消える声
  ゼンマイの破片

 砂利に、ちいさな仔犬
 まるまってよこたわる
  微かな息

 持ち上げる
  胴体の断片がおちていく
 小さな声でないていた
 仔犬は、
  工場裏の自販機の脇に置いた

くうくうと微かな音

 計算機で
 今月の収支に書きつけた
 印画紙の在庫を確認する

視界の青空が、
破れた紙が
さらさら
さらと、
 おちていく吐息を拾う

 無数の硝子を集める

 おとした欠片をさがす
 指さきにひび割れる

  ちいさな声は
  森の風に吹かれて
   雑木の蔦に絡まる


眠る
死骸は
ゆめみるように
ないていた
夢の
なかの
風景





自由詩Copyright ryinx 2024-07-28 02:40:45
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