みづ色の舟
リリー

 岬に立つと
 陽の輝きが急に増す
 気がつけば波間に閃めく舟も
 ずいぶん遠かった

 入道雲のわき立っている水平線 
 みづ色のこいしのように光る舟のそばで
 一羽のかもめが翼をひろげ
 ゆれている

 あなたは何処へでも行けばよい
 そう呼び掛けているのだろうか?
 分別くさくなった少年の様な顔付きで
 舟が、かもめに頷いた

 (そりゃそうさ
  皆 解らないのさ他の人のことなんか
  自分の行き先だって
  どんな風に曲がっているのか
  曲がってみなきゃ解らないよ)

 長いすねをにゅっとつき出す舟は
 広さの中で 
 唯揺れて 唯に揺れて
 浪とたわむれ続けている
 
 


自由詩 みづ色の舟 Copyright リリー 2024-07-26 20:04:45
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