みづ色の舟
リリー
岬に立つと
陽の輝きが急に増す
気がつけば波間に閃めく舟も
ずいぶん遠かった
入道雲のわき立っている水平線
みづ色の礫のように光る舟のそばで
一羽のかもめが翼をひろげ
ゆれている
あなたは何処へでも行けばよい
そう呼び掛けているのだろうか?
分別くさくなった少年の様な顔付きで
舟が、かもめに頷いた
(そりゃそうさ
皆 解らないのさ他の人のことなんか
自分の行き先だって
どんな風に曲がっているのか
曲がってみなきゃ解らないよ)
長いすねをにゅっとつき出す舟は
広さの中で
唯揺れて 唯に揺れて
浪とたわむれ続けている