通り雨
リリー

 激しく降った雨で
 低い土手の生い繁る雑木は
 いっそう緑濃くなり

 駐車場の水溜りをよけながら
 歩くスカートの裾が
 まつわりつく

 建屋の脇には短い竹林の小径
 聳り立つ竹の薄赤く枯れた葉葉は
 陽を吸いこんで
 はらはら 散り落ちる
 雨滴はずませて
 さおさお 揺れ始める
 黄色を帯びた一群が、
 どこか悩み深げな吐息を洩らし

 その夕空へ
 はいのぼる鶯の、何となくものかなしい響き
 立ち止まっていた足は
 つい 薮のしずかさに手招きされる
 夏のひと時
 
 
 


自由詩 通り雨 Copyright リリー 2024-07-25 15:34:15
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