かげろう
そらの珊瑚

空にさしだした手のひら
つきさしていく日のひかりで細胞が痛い
夏のひとはみな発熱し
アイスクリームはみるみる溶ける
蟻がやってくるまえに
きのうのできごとは蒸発してしまう
会いたいひとがいたはずだったのに
いいことだったり
わるいことだったりしても
かたちを変えて
手の届かない
空にうかぶ

まひるの夏の影はいよいよ濃くて
人ひとりぶんとしては
とても小さく
地上でつながっている
ここで生きていく


自由詩 かげろう Copyright そらの珊瑚 2024-07-21 08:57:05
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