Love Song
安部行人

おれは見たい、
赤錆びた鉄塔の頂きに
鳥のように爪先立って
人影のなくなった都市を見たい
きみとだ


おれは見たい、
太陽のとなりに炸裂するもうひとつの太陽の誕生を
塵からつくられたものがすべて塵にかえるところを
おれは見たい、
きみとだ


おれはこの世界からできあがっていて
愛することと憎むことを区別しない
きみはどうだ?


おれときみと
緑の丘のいちばんうえで
一緒に並んで座って
のたうちまわる世界を眺めよう
おれは蛇腹を押し引きしてレクイエムを弾くから
きみは「世界の終わり」という名前の絵を描くといい
すべてが終わったら
また新しい場所へ行けばいいのさ
死にかけの世界は
それこそ無数にあるから
おれたちはまだ
終末に飽きてしまったりはしない


おれは見たい、
いずれ塵にかえるもののひとつとして
歴史の最後の一行を読み通したい
きみとだ


自由詩 Love Song Copyright 安部行人 2003-11-29 21:21:47
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