騒々しい創造神
鏡文志
夜、夢の中で神様に出会った。神様は、眼鏡をして原稿用紙のコマ割りの中にいる私をみて、不思議そうな顔をしていた。
「OH! 神様、逢えて嬉しかった。この世で一番大切なものは、愛ですよね?」
私が髭を生やしたお茶の水博士の出立ちで、そう感激し、涙ながらに訴えると
「なにを言うとるんや。ワシはまだ設計中やで」
と言いながら、神様は大きく首を横に振った。
「神様、貴方は私たち人間にとって、なにより大切なものをお作りくださった。この次は、一体なにをお造りになるんですか?」
と私が問うと
「おう、それは今アシスタントと、相談中やで」
と眉間をポリポリ掻きながら、過去作ったものについて、感慨深げに語り出した。
「そうや、コロナワクチンもワシが作ったんや。トランプも、ワシが作った。『愛』はもうとっくに作ったから、他の作ろう思うてる。憎しみはもう生んどるし、無感情も、もう生んどるのよ。『アブノーマル』も、もう生んどるし『それに対する、正常者の反対運動』も、もう生んどるのよ。この次は、なにを生み出そか?」
「愛は、真理ではないですか?」
「愛は、真理ではそろそろないよ。そろそろ飽きたから、もう変えようと、思うてんねん」
「分かりました。神様は、ユーモアを説いてるんですね?」
「うっ、そうかも分からん。ブーム作りには時間が必要やし、その時間を作り出したのも、確かワシやし。全部、ワシが作っとんのよ。どれくらい? ほとんど全部、ワシが作ったんよ。ワシが作ってないもの? このワシのステッキぐらいかなあ? この魔法のステッキで、色んなもの、生み出すのです。でも、この木の棒はワシが生み出しとるわけやし、その時間軸をどう捉えるかは、企業秘密なのでね。こっちも商売やから」
神様はそう言って、夜の闇の中へ消えていった。
朝起きて、私は陽の光を浴び、昨夜見た夢を思い出し、こう呟く。
「OH! MY GOD!!!」