水辺の四頭の馬
石瀬琳々
絵具をのばして色を確かめる
書物の行方をめくってみる
思いつく言葉の先に何があるのか
風はどこから吹いているのか
水辺の四頭の馬
あの時なくしたものは戻って来ない
あの時はなした指さきは
ただ感触だけがわたしのもの
たどり着きたい思いがある
ゆれる草の中をかきわけて
動かない雲の影
水の源を探すように
静かにたたずむ四頭の馬を見つけて
誰か耳もとで囁いたように
彼方に宿る光りがうねるように
胸の奥に響いているさびしさ
いつか見た夢の続きを探している
今もそこで待っているような気がして
すこし息をひそめている