そのままのままで
秋葉竹



一握りの朝が
窓をすり抜けてこの部屋に入って来る

朝焼けの美しさとは永遠に近いんだから
その朝は遠慮なく
トランペットで
だれもが起き出すやさしいメロディーを
奏でてくれればいいのに


ぶ──────────────────ん

除湿器の音が
気になるくらいに
静謐な部屋にひとり
影まで孤独な七月に

病んでいるわけではなく
ひとりが怖いわけでもなく
死んでいるわけではなく
死にたいわけでもない

一握りの朝が
ほんのりとじんじんと
私の冷たい瞳をあたためて
なにかを伝えているのだろうが
わからないまま
わかったフリで
起きてしまう
それは朝をいまいち好きになれないまま
夜は心まで冷えるのだけれども
甘くて切なくて愛おしい深い帳に隠された
憧れのあのひとの匂いがするのが
好きだからだ

元気になれたらいいのだけれども
ゆっくりとひとつづつ
美しさを探して
まっすぐに広がる朝から始めて
そのままのままで
なにも怖がらずに
ゆったりと生きてゆければと想う

そのままのままで
元気になれたらいいと想う










自由詩 そのままのままで Copyright 秋葉竹 2024-07-16 22:38:49
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