そのままのままで
秋葉竹
一握りの朝が
窓をすり抜けてこの部屋に入って来る
朝焼けの美しさとは永遠に近いんだから
その朝は遠慮なく
トランペットで
だれもが起き出すやさしいメロディーを
奏でてくれればいいのに
ぶ──────────────────ん
と
除湿器の音が
気になるくらいに
静謐な部屋にひとり
影まで孤独な七月に
病んでいるわけではなく
ひとりが怖いわけでもなく
死んでいるわけではなく
死にたいわけでもない
一握りの朝が
ほんのりとじんじんと
私の冷たい瞳をあたためて
なにかを伝えているのだろうが
わからないまま
わかったフリで
起きてしまう
それは朝をいまいち好きになれないまま
夜は心まで冷えるのだけれども
甘くて切なくて愛おしい深い帳に隠された
憧れのあのひとの匂いがするのが
好きだからだ
元気になれたらいいのだけれども
ゆっくりとひとつづつ
美しさを探して
まっすぐに広がる朝から始めて
そのままのままで
なにも怖がらずに
ゆったりと生きてゆければと想う
そのままのままで
元気になれたらいいと想う