浜辺便り
そらの珊瑚
白い貝殻たちは
海にさらされた
うつくしい骨
空につるされた
ほねとほねは
風にゆられてぶつかり合い
連れ立って
清んだ音を生んでいる
望めば
とぎれることがないように思える
この旅にも
いつかおしまいは
ちゃんと用意されていて
そのとき
人はなにを聴くのだろう
よせてはかえす
すなつぶのような
ささいなおもいで
時間が磨いた瑠璃色のくず硝子の魂
熱くこげた砂浜に手花火の残響
湘南FMを叫ぶ耳のような巨大スピーカー
日陰をずらし続ける意地の悪いパラソル
どこにでもあるような景色だけど
ここにしかない
潮風にひそませた死のにおい
テトラポットに墜落したかもめが
烏に
波に
みぐるみをはがされながら
からんからん
骨になる日を待っている