骨
夏井椋也
逃げ出したくて
吐いた嘘を
骨は知らない
抗いたくて
千切った縁を
骨は知らない
痛んで
悦んで
肉がくたびれていくのを
誤魔化して
宥めすかして
心がたるんでいくのを
骨は知らない
何も
知らないから
骨だけが
最後まで美しい
自由詩
骨
Copyright
夏井椋也
2024-07-12 09:53:29