氷菓
そらの珊瑚
good day
明るい雨がさらってゆく
うしろむきの心
光をこぼしあう緑の葉はさざめき
笑う
傘なんかいらないじゃん、と
梅雨明けはまだ先
飛行機がゆく音は
雷鳴に似てる
白い雲の上で交通整理をする鬼
海まで五分
潮の香りは
死んだばかりの
さかなのはらわたのにおい
手を
離さないで
夕暮れ泣き
食べこぼした氷菓のかけらは
あっという間に
地上で溶けた
夏の抜け目なさ
正しく刻むメトロノーム
甘い匂いを察知した蟻が
行列を作っている頃
寿命を終えた
頭上の人工衛星は
宇宙の塵となり
定刻通りに赤ちゃんは泣き出した