永遠の翌日
カワグチタケシ

金曜日
朝日に顔をしかめて
パジャマのままで通りに出る
すれ違う人たち
アトラクションみたいな駅前ロータリーで

敗者の通勤経路
誰かが仕掛けたアラームが鳴り止まない満員電車で
使用資格を限定した切符
都市計画とはいつでも残酷に行使される

意味の中に君を感じる
午後
荷物はつぎつぎに運び出され、あっという間にがらんとしてしまう

窓の外の夜が明るい
雨が降っているのに

永遠の翌日
今日から七月
星祭の夜
エンゼル街では
金魚のように着飾った娘たちが
思いおもいに
息を吸ったり止めたりしている

自由になるためには
なにもすることはないのだ
とわたしには思われる
自由であることを
やめようとしなければ
それで十分なのだ。
金持ちであっても、
貧乏になっても、
わたしはいつでも自由でいる。
ただ、あの国、あるいはこの国で
自由でいるというのではなく、
地上のあらゆるところで
自由でいるだろう。

夜光虫が夜のビーチに打ち上げられている
渇望に苛まれるとき人間の時間は有限ではなくなる

僕らの海を距離は超えられるのか
めいめいがばらばらの朗報を待って
永久凍土に立ちつくし
唇を噛んでいる
その足跡に
杖の音が重なる

屋根のない部屋に
乾いた砂が注ぎ込まれる
雨が砂を濡らすと
夜のあいだに運び出される

大気の熱力学
ターミナル駅で事故のニュース
自動ドアを出ると
汚れた海の匂いがした

夜の運河を夜光虫のように光る無人の屋形船が滑っていく

そして朝

永遠の翌日
いままでにない問いが生まれる
今日から始めよう
勇気を忘れずに
革命の話をしよう
革命についてではなく
革命の話をしよう


contains sample from Takashi Matsumoto & Jean-Jacques Rousseau


自由詩 永遠の翌日 Copyright カワグチタケシ 2024-06-23 23:17:20
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