雨降りお月さま
朧月夜

雨降りお月さまは、どこへ行く?
それは雲の上、星の彼方。
わたしたちには見えないものも、
宇宙飛行士なら眺められるね。

雨降りお月さまは、どこにいる?
きっと今は、隠れんぼの途中。
彼にも彼女にも、本当のことなんて、
山ほどあるから、だから悩まない。

春が終わり、夏が過ぎ、やがて
秋がやって来れば、お月さまは
神聖なものとして眺められる。
お団子は必須だよ……ね?

雨降りお月さまを追いかけて、
ずっとずっと向こうまで行けば、
わたしたちの心も宥められる。
すべての不幸せを、洗い流すように。

本当だよ。だから祈ろう。いつか、
皆が幸せになる日々がやって来ると。
そうして魂を空っぽにして、
毎日を何気なくやり過ごすんだ。

「退屈、退屈」って言いながら、
退屈ほど尊いものも、ないのだって。
だって、お掃除だってお洗濯だって、
退屈だから出来るのだって。

理想とは縁遠い、皆の心ばせを、
きっと隠れんぼをしている、
お月さまは見ているのに、さ。
悩みや迷いは多いよね。分かるよ?

きっと一杯の紅茶やコーヒーに、
癒されて僕らは、自分へと帰る。
ありのままの、裸のままの心へ。
ああなんだか、気が遠くなりそうだよ。

雨降りお月さまは、どこへ行く?
色んなものを携えて、笑って、
「ここまで来いよ」って、
言っているの。なんていけず。

晴れたら「希望」が待っているの。
今は、それまでの辛抱だと、
いくら辛いことがあっても、
耐えて行けるんだよね、どこにいても。

雨降りお月さま。ああ、
その化身たる月読尊つくよみのみことよ、僕たちに、
どうか答えを与えておくれ。
そっと背中を押しておくれ。

この負い目はいつかきっと返そう。
笑って、笑って、親切に
身を任せて、目一杯助けられて、
そう。単純な心を紡ぐ。

四度の不協和音が、
僕たちの「心」だから、
調子っ外れだったとしても、
それで良いんじゃない? だって……

「地獄の季節」ではない、
「幸福な季節」がやって来て、
雨降りお月さまと一緒になって、
ダンスを踊る。足元は覚束ないけど。

ああ、僕たちは一体何を、
言おうとしていたのだっけ?
すっかり忘れたよ。思い出せない。
でも、それが幸福。

誰をも悩ませることのない、
希望の楽園はあって、でも、
それは無限の彼方に。
憧れのずっとずっと先に。

今夜は雨降りお月さま。
天気はただ優しいだけじゃない。
時には残酷なこともあるね。
それを忘れないよ。

ああ、なんだか、
気が遠くなりそうだよ。
眠って眠ってしまいそうだよ。
ねえ、明日には何があるの?

ためらいもなく、矛盾を抱えて、
僕たちは生きているんだよね。
だけど、答えよりはヒントが欲しいんだ。
さっき言ったこととは、違うけれどね。

そう。僕たちは日々、いや、
一秒ごとに変わっていく。
変わらないのは、頭上にあるはずの、
月だけなんだ……だから、

雨降りお月さまは、いまどこに?
それは曇り、曇った空の上。
どこまでも揺るぎない、真実といるの。
だから今夜ばかりは……

夢を見させて。


自由詩 雨降りお月さま Copyright 朧月夜 2024-06-08 12:33:54
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