猫を描く
soft_machine

猫は知っている
人が磨き人に割られるランプらの意味
猫は知っている
女たちがくちびるの感覚で
こぼれる涙に色をつけたがるかの謎を
猫は知っている
男たちの欲望に満ちたやさしさが
つぎの曲を書かせる訳を

猫は知っている
虫や小鳥を前にして
どうして胸がざわめくのか
どうすればそれらでもっと長く遊べれるかを
猫は知っている
影の中のいちばん暗い闇を駆けぬけ
ひとつの運から別の運へと跳びはねる

それからいのちを玩び
猫だけが
真夜中
ふくらみつづける星の理に爪をたて
猫だけが
だらりとぶら下がり
おどろいた時の極光を見ひらき
磨きあげた髭をひきしめた
それは同時に嘆息する猫
腋をたるませ
どうやればもっと傷つけれるのか
どうなればこの愉悦がもっと続けれるのか
猫だけが狂え
猫だけが夢を咥え
力みすぎてバラバラにする度
すぐに忘れたいと考える猫

そのぱっくり開いた管から
とめどなく流されるにおいを嗅ぎわけ
しなやかに
したたかに
遠方からのたよりに耳をかたむけ
退屈だよと
すぐ捻じれ
すべての巡りあいに
お腹の痛みをチクリとかかえ
ある日ふいといなくなる猫





自由詩 猫を描く Copyright soft_machine 2024-05-24 10:25:42
notebook Home