熱い痛み
秋葉竹
風のことなら風使いに聴けだなんて
なんて安易で甘ったるい考えなんだろう
僕は宇宙の心の底が知りたくて
風の声を聴きたくなったけれど
だからといって
風使いに聴こうだなんて想わない
つぎつぎとこみ上げてくる
想いや希いや嬉びや哀しみも
全て風に吹かれて
あの山の向こうへ飛んでゆくんだから
それは誰にも止められない
黄金の道をゆくみたいなトンネルだから
夜に風の声を聴いていると
寂しくて死にたくなったりするだろう?
その気持ちを語ることができる相手が
君の好きな人だと思うんだ
風のことなら風使いに聴けばいいだなんて
なんて平和でやさしげな考えなんだろうと
僕は思うけれども
悲しみばかりを追う爛れた過去の記憶も
忘れてしまえないなら
風に癒してほしいから
そんなふうに心を騙してしまったことが
いけないことだと云うのなら
それはいけないことなんだろうけど
風のことなら風使いに聴けだなんて
なんて安易で甘ったるい考えなんだろう
なんて強がりみたいな見栄張りみたいな
憧憬みたいなカッコいいみたいな
反抗期みたいな厨ニ病みたいな
ちょっとあっついこころもちでいられるのも
内緒だけどけっこう快感だったり
するんだよね