ほんとうのよるのうた
秋葉竹

 

ほんとうなんて
どう書けばいいのか
わかんないよ

夜は眠りたくないんだ
だから
アルコールなんて飲まないんだ
だから
スマホなんてみないんだ
夜は
ずーっとつづくべきなんだ

なんて本心を書いて
だれかなにか
感じてくれるのだろうか?

ゆるやかな
眠りが希だ

そう想って導入剤を飲んでも
まるで
なにかを喪失しつづけている
みたいなんだ

いつまでだって
夜はつづくでしょ?

おぼろげなかなしみなんて
みたこともないものを
ひっぱりださないで

街は眠りつづけている今夜
この部屋は眠らずに
私になにをさせようとするのか

ひとりねを
寂しいだなんて想わないなんて
こころのそこから嘘だと想える想いを
平気で抱きしめて
ほんとうの大事なものの
ようにたいせつにするよ?

眠りたくないのではなく
眠れないのだというほんとうを
だれに告げたとしても
けっしてなにも伝わらないという
簡単な未来の予想だけは
べつに
能力者じゃなくても
神さまじゃなくても

間違いなく
正しい未来だってわかるから

わかるから
ひとはいずれ老い死ぬという
赤錆みたいな悲しみに
こころを酔わせてみたりするのか

気づくのは
そういつも
すべてが終わった
まつりのあとなのに










自由詩 ほんとうのよるのうた Copyright 秋葉竹 2024-05-18 08:39:08
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