メイストーム
そらの珊瑚
もうすぐ花火がはじまるぞ、と
キミが誘うから
ボクは藻の家から出た
どんよりした空を見上げる
まもなく雨粒が落ちてきて
はじけて円を描いて消えた
ひとつ、ふたつ、みっつ、
数えられたのは最初のほうだけ
あっという間に
数えきれない花火が爆発していく
いつもは静かな空が
今は不穏なにぎやかさに満ちていた
この空の上には本当の空があって
花火はそこからやってくるんだと
キミは胸びれで上を指す
さかなが生きていけないところ
銀色のうろこがざわつく
いつかキミはそこへ旅立って
もうここへは帰ってこない気がして