五月の雨
レタス
ネオンの滲む街角で
ウオッカを飲み干し
潰れた夜
ぼくは路上の水溜まりで朝を迎えた
ネットの噂では
きみはいまでもピアノを弾いているらしい
解ろうとして解らなかったあの日
手を強く握りあったのに
二人とも1mmの誤差も許さなかった
謝る言葉もなく
そっと手のひらを離してしまった
あれから想い出を打ち消すように
この身を削るように働いた
その代償に眠れなくなり
食事も採れなくなった
いまぼくは平穏無事に過ごしている
きみに幸あれと願う夜
初出 日本WEB詩人会 2004/05/06