水色のタイトルとまばらな座席
ねことら




汚れた衣服をいくつか籠に放り込んで、そうしてぼくたちはカラフルな影を選んで家路についた、どの日めくりにもあった日焼けの跡のことを、反射する屋根の眩しさ、室外機の低い振動、五月は水色のタイトルとまばらな座席の季節だった、がらんとしたビル街の四角い空を拾う、朝は朝から朝に明け渡されて、どこまでもぼくたちは二人きりで、再生された動画の数は覚えていなかった、歩道橋、カラーコーン、捨てられたペットボトル、無数の透明な窓枠のすべて、広々とした底を歩いた、スマホだけを持って、この曲がり角にも誰もいない、この曲がり角にも誰もいない、スニーカーソング、誰かに書かれた小説の足取りを、春が無音で連呼されるこの街の一隅の足取りのことを









自由詩 水色のタイトルとまばらな座席 Copyright ねことら 2024-05-04 09:25:05
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