めしべの思い
陽向(2躯-30~35)

比べてないと云えば
それはもうそういう風に考えている

芸術を忘れていた
自分の頭の中の誰かと戦い
ひたすら負け続けていたわたしは
いつからか勝つことばかり考えていた

そして念願の勝ちを得る
勝ちだすともう止まらない
頭の中の敵は味方になり
いつしか僕に微笑みをくれ夢中になってくれる

しかし周りは離れていくのだ

ああ、一人、また一人
どんどん人が離れていく

とうとう一人ぼっちになってしまった
にも関わらず、頭の中の敵だったものは
あなたが好きでたまらないという

上手くいきすぎた

芸術を思いだした しばらく忘れていた
芸術という痛みを
僕を支えてくれてた人たちは
僕の痛々しい感性が好きだったんだ

また、あまりにもできすぎた僕は
バカなふりして、いつしかほんとうにバカになって、芸術をしたいと思った



自由詩 めしべの思い Copyright 陽向(2躯-30~35) 2024-05-02 00:00:26
notebook Home
この文書は以下の文書グループに登録されています。
お真面目の詩集