あたらしいいちにち
秋葉竹






 

いつだって
けさが始まる坂の上
春と一緒に光かがやく


夜の影に隠れて
起き上がった朝が
ゆらゆらとゆれている
やさしく微笑みながら
今日もあたらしいいちにちが初まる

すこしだけ残った夜露や
もっとほんのすこしだけ残った
やさしい目をした悲しみが
目を覚ましている

こころは進むべき道へ
進むだろうという嘘を
過去を振り返りながら
今日も信じこませるんだきっと

すこしだけ悲しい想い出が
新しい空気に
すこしだけ甘酸っぱい香りを
漂わせてくれている

なによりもたいせつな
いまはもういないあのひとは
これからもずっと
たいせつなまま
気づきにくい体温みたいな
あたりまえのあたたかさで
すこし疲れたこの体を
あたりまえみたいに
休ませてくれるだろう


幻じゃ
ないんだ春は名も告げず
あなたの想いを伝えてくれた










自由詩 あたらしいいちにち Copyright 秋葉竹 2024-04-24 08:19:31
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