夢見た一生
北川 聖
生きる手段が何もなくなった時
死ななければならない
それがこの世の理
生活保護さえも
受けられない
家を失い外に放り出される
私が生きる余地はこの世にない
自分の最後を予感していた気がする
ずっと前から小さい子供の時から
木枯らしの中を歩くどこまでも
何も食べるものがなくなり
ふらついてゆらりゆらり
皮のように薄くなって風に流され
人に踏まれ引きちぎられていく
どくどくいっていた心臓は
風に飛ばされ車道を舞い、車に潰され
赤い血をぶちまける
悲鳴を上げた人の顔を濡らし
真っ赤に染めた血潮は最後の生きた証
私の残滓が何台もの車の車輪にへばりつく
腐乱し分解され土に還る
これが私の夢見た一生