Alone Again Or
中田満帆


 折れた、
 夏草の茎の
 尖端から
 滴る汁、
 突然静かになった水場
 あのひとが愛の、
 愛の在処をわかっていると誤解したままで
 おれは死ぬのか
 麦を主語に従えた季節は終わって、
 世界の夏で、
 いまは微睡む
 そして無線の声
 "The less we say about it the better"
 でもちがうって気づく
 おれはあまりにも
 語りすぎたと
 いままでずっとそう、
 いまだってそう、
 そのまま埋められない距離を
 いやいやして応える、
 子供みたいに
 雲が鳴きだしたあたりで、
 ようやく針が動いた
 運命でもないひとのためにおれは多くを喋り過ぎた
 それがまちがいだと気づくのが遅れて
 この地平、その起源すらわからず、
 死んでしまうのか
 折れた、
 茎の
 尖端から
 滴る汁、
 静かになった水場よ
 産まれた場所には2度と帰らない
 舞踏病に罹ったハイカーたち
 バスのアナウンス、
 警笛の回数、
 永遠、
 そんなものを抱えて、
 去ってしまってしまうんだ、
 またひとりで。


自由詩 Alone Again Or Copyright 中田満帆 2024-04-15 10:42:57
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