ヌード
ただのみきや

酒瓶の向こう 海が見えた

黄金の波 溺れるかもめ

便箋からつぎつぎ剥離して

あぶくになって消えていった

夜の上澄みをただよう海月のよう

デスマスクから解放された

こころは在りかを明かさない

瞑り見る 面影は 線画の女神

金環日食に修正ペンで描かれた

たどたどしい 愛欲の軌跡

酒瓶の向こう なにを見た

きみの裸を前にした

めくらの自分が立っている


                (2024年4月13日)








自由詩 ヌード Copyright ただのみきや 2024-04-13 12:19:15
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