窓のある風景
中田満帆


 叫びのない窓が額装されるまでに
 まずは県民会館で
 エッチングとして公表された
 田舎者たちにかこまれ、
 曝された色彩が
 夜ごとかれらのなかで這入って
 やがて追放された

 叫びのない窓が額装されるまでに
 イギリスの小さな個展で
 散文藝術に複製されるかたちで
 ひとびとのまえにだされた
 ひどく脅えたガラスのなかで
 膨張するひとびと
 夜ごとかれらのなかで破裂して
 画廊ごと焼き討ちされた

 叫びのない窓が額装されるまでに
 多くの時代が過ぎ去っていった
 手の届かない納屋のなかで
 それが発見されたとき
 若い男は窓を額に入れて
 叫びのある窓に変えてしまった
 夜ごとかれのなかで砕け、
 閉鎖病棟の一角でいまは忘れられている。


自由詩 窓のある風景 Copyright 中田満帆 2024-04-13 08:47:44
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