玩物喪志
レタス

樹齢300年を超える美しい欅の一枚板を手に入れた

奥行70cm 幅120cm 暑さ3cmの文机にしようと決めた
木工職人に仕立てて貰い

砥の粉を塗り込め1000番のサンドペーパーで磨き
生漆を塗っては拭き、塗っては拭き、それを六回繰り返した

完全防備をしたはずが案の定
全身がカブレてしまった

皮膚科のクリニックに行くと
これも案の定
見眼麗しい女医だった

皮膚科は女医が多いのだ

パンツ一丁になり全身の様子を診て
股間はどうですかと聞かれ
此処は痒くありませんと言った

危うく腫れた局所を見られてしまうところだった
では軟膏と飲み薬を出して置きましょうと言われ
極刑を免れた

仕上がった文机は緻密に流れるメロディーのような波紋が見事だ
何処の高級家具店にもない物になった

ぼくが亡くなったあとはどうしようと考え
博物館に寄贈することにした

大切に保管したら千年は楽しめる逸品になった



自由詩 玩物喪志 Copyright レタス 2024-04-12 22:32:29
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