メモ(呪文)
はるな


あなたは長い間わたしの神様だったように思う。たまに来て笑って、ちょっと触ってくれる神様。見るたびに薄く透けるようになって、最後には滴る水になった。いまは、そして「あなた」という言葉になった。
どんなに遅れても桜はちゃんと咲くし、きらきら散っていくの、見ているからね、とつぶやいて目をつぶる。手のひらを外側にして合わせて地球を一周する。空気だ空気だ、世界がやってくるぞ。それから、目をひらいて、新しく恋をする。いいでしょう、性懲りもなく生きたりしてるんだよ。秘密や呪文をそのたびわすれてさ。



自由詩 メモ(呪文) Copyright はるな 2024-04-12 11:00:18
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