メモ(呪文)
はるな
あなたは長い間わたしの神様だったように思う。たまに来て笑って、ちょっと触ってくれる神様。見るたびに薄く透けるようになって、最後には滴る水になった。いまは、そして「あなた」という言葉になった。
どんなに遅れても桜はちゃんと咲くし、きらきら散っていくの、見ているからね、とつぶやいて目をつぶる。手のひらを外側にして合わせて地球を一周する。空気だ空気だ、世界がやってくるぞ。それから、目をひらいて、新しく恋をする。いいでしょう、性懲りもなく生きたりしてるんだよ。秘密や呪文をそのたびわすれてさ。