うたうたい
秋葉竹
今日もまたあなたを傷つけた
寂しさが棒立ちしているバスに乗り
ただ横にいるだけで
やさしいあなたの笑顔を消した
応えられなったあたまが悪いから
じゃなくてこぼれ落ちた言葉が
あまりにも硬い爪のように聴こえたのか
あなたはすこし真顔になって
痛みをこらえていたみたいだった
爪は肌も心も傷つけられるものね
心の持つ
月のカケラみたいな
繊細な輝きにくらべたら
言葉はなんて
不躾で不自由でスカッとしないんだろう
ただ僕にも
あなたにも重い苦しい言葉を引きずって
ふたりはいっしょに暮らしていく
そんなひきつった寂しさを
払拭したくて
僕ひとり
うたをうたってるのだと想う
綺麗な声でうたえたら
言葉の拙さを忘れられるみたいな
夢みたいな
希望みたいな
悲しみみたいな