叫び
秋葉竹
ぎんいろのメトロポリスは
少し遅めの帰宅の列車を吐き出すよ
みあげれば
満月が狂ったみたいな赤色で
川べりを走る電車たちに
まるで異世界色の桜の花びらが降りそそぐよ
電車は無機質な音を立てて
何万回と走った景色にうんざりしてるよ
川面を照らすキラッキラの街の灯も
昨夜と同じ悲しみだけが少し濃いめかな
家に早く帰ろうと
想っているひとはどれくらいいるだろうか
もはや失敗だったと
想っているひとはどれくらいいるだろうか
だれもいちどきりの人生を
初めて生きてんだから
そりゃまぁ失敗くらいするよなぁ
けどしないヤツがみおろすのもホントウ
ちゃんと憶えてないんだけど
べっつに人生
生きてりゃいいんだって歌があって
だから僕は人生ってそんなもんだろって
だから僕は真っ白い夢に酔ってたんかなぁ
ぎんいろのメトロポリスは
今夜最後の行先知れずの列車を
大きな口から叫ぶように吐き出してゆく
そこにある罪の意味を問わず
1日を終わらせるために吐き出してゆく