叫び
秋葉竹



  

ぎんいろのメトロポリスは
少し遅めの帰宅の列車を吐き出すよ

みあげれば
満月が狂ったみたいな赤色で

川べりを走る電車たちに
まるで異世界色の桜の花びらが降りそそぐよ

電車は無機質な音を立てて
何万回と走った景色にうんざりしてるよ

川面を照らすキラッキラの街の灯も
昨夜と同じ悲しみだけが少し濃いめかな

家に早く帰ろうと
想っているひとはどれくらいいるだろうか

もはや失敗だったと
想っているひとはどれくらいいるだろうか

だれもいちどきりの人生を
初めて生きてんだから

そりゃまぁ失敗くらいするよなぁ
けどしないヤツがみおろすのもホントウ

ちゃんと憶えてないんだけど
べっつに人生

生きてりゃいいんだって歌があって
だから僕は人生ってそんなもんだろって

だから僕は真っ白い夢に酔ってたんかなぁ
ぎんいろのメトロポリスは

今夜最後の行先知れずの列車を
大きな口から叫ぶように吐き出してゆく

そこにある罪の意味を問わず
1日を終わらせるために吐き出してゆく












自由詩 叫び Copyright 秋葉竹 2024-04-10 00:38:50
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