プリーズ、ナッジ、マイ、ヘッド
竜門勇気


なんて不幸なことなんだ
壊れた僕のバイクは
今朝の太陽も知らずに
四角い鉄の塊になったよ

当たり前のことさと言って
きみは笑ったようなふりをする
暗闇の中で誰かにキスするみたいに

ジョークが本当にうまいよ
こんなとこにいなくてもよくなったら
コメディアンになったほうがいい
ぼくはきみが目覚めないことを知っている
真夜中に雪が降ったらしい
なんだか気分が悪くてカーテンを触る気になれない

当たり前のことさと言って
きみは笑いかけるようなそぶりを見せる
暗闇の中でぼくにキスするのかもしれない
ぼくはきみが何しようとしてるのか知らない
暗闇の中だから

なんて不幸で悲しいことなんだ
きみが羨ましがっていたバイクは
今朝の夢が醒める前に無茶苦茶になっていたんだ
ぼくが酔っぱらっていたせいで

当たり前のことさともう一度言って
きみは真夜中の電車の中黙り込んでいた
一緒にいることだけ諦めなければいい
きみは二度と目覚めない
そう信じて暗闇でない場所で
ぼくはきみにキスをするのかもしれない



自由詩 プリーズ、ナッジ、マイ、ヘッド Copyright 竜門勇気 2024-04-09 23:49:49
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